「料理は五感で」が口癖のようになってしまっている。
いや、五感以外でする料理が今の私には想像がつかない。
それを身体で実感するのがこの翡翠色の豆たちが台所にやってくる季節。
絹さや、スナップエンドウ、グリーンピース、そら豆。
出来上がりを想像したら、豆たちを一気に火にかけていく。
時にはぶくぶく気泡がのぼる熱湯から、時には冷たい鍋で、そして時には油で。
絹さやは真剣勝負、色が変わったらすぐに盆ざるに取り出したい。
スナップエンドウは、きゅーっとかわいい声をあげはじめたら。
そら豆はぷっくり風船のように膨らむまで。
こんな風に文字で簡単に書いてはみるが、やってみると一筋縄ではいかないことも多々。
私たち人間もそれぞれであるように、野菜たちもそれぞれ違うことは言うまでもない。
私の大好きな国であるイタリアではこれらの野菜もくたくたに柔らかくなるまで加熱することが多く、
そのように調理された野菜は、同じ野菜だとは信じられないほど深い味わいを秘める。
でも、このように歯ごたえがあり、彩を大切にする日本的な調理方法もとても好き。
外食ではおまけのように使われることの多いグリーンピース。
(岡山県南ではなぜか「アラスカ」と呼ばれる。北部や、隣接する広島の街や、兵庫でもそう呼ばれていないのに。でも今は私もアラスカと呼んでいる。岡山県民だからね。)
小さいころ、グリーンピースはあまり好きな野菜ではなかった。
缶詰に入った人工的な甘みの緑色の豆、ミックスベジタブルに入っている冷凍のもの、食べたことがあると言ったらたぶんそのようなものだった。こんなもの入れなくていいのに、と思っていた。
岡山はグリーンピースの産地だ。ゴールデンウィークくらいから梅雨入りまで短い間楽しむことのできる美しい豆。
グリーンピースがこんなにも美味しいものだと知ったのはこの土地に来てから。
少し乾いた鞘からぷりぷりの豆たちがはじける。この季節は手を見なくても鞘から豆を出せるようになるほどグリーンピースを食べる。
スナップエンドウも、絹さやもそう。季節の巡り合わせ。
「身体が緑色になりそうなくらい豆を食べてます。」という方が教室にいらっしゃって、それがとてもおかしくて二人で笑いあった。
2018年5月
・春夏野菜の白和え
・トマトと香菜の味噌汁
・グリーンピースと海老の葛炒め
・セロリの卵焼き
・新玉ねぎのシュウマイと長いも・キャベツの蒸し野菜
・はと麦ごはん
・揚げ白玉 ココナッツ風味